『クレイマー、クレイマー』は、仕事一筋だった父親が、息子との暮らしを通して少しずつ成長していく姿を描いた名作です。
特に印象に残るのが、劇中で何度も登場する「フレンチトースト」のシーン。
初めは失敗だらけだった朝食作りが、父と子の成長を象徴する場面へと変わっていきます。
今回は父親の立場から、この映画を見返して感じたことを書いてみます。
ダスティン・ホフマンの演技も素晴らしいのですが、当時8歳だったジャスティン・ヘンリーの自然な演技にも引き込まれます。
息子を持つ父親なら、この映画を観るとさまざまな思いがこみ上げてくるかもしれません。
仕事も大事だけれど、家族、そして子供ももっと大事
「仕事と家族、どっちが大事なのよ!」と言われたら、「家族のための仕事だろ!」と(口に出さなくても)思ってしまうこともありますね(男性も育休を取得する時代なので、あまり多くの人は思わないのかな)。
映画を見ると、「仕事だけでなく、ちゃんと子どもや家族とも向き合わなければいけないな」と考えるきっかけを与えてくれるかもしれません。
あらためて見返して感じたのは、「愛情とは何だろう」ということでした。
子どもへの愛情だけでなく、夫婦がお互いに向ける愛情とは何なのか。
この映画を見ていると、「相手と向き合うこと」も、その一つの答えなのかもしれないと思えてきます。
仕事に追われていると、つい家族との時間がおろそかになってしまう。映画は、そんな現実も静かに描いています。
もう少しお互いが向き合う時間を持てていたら、違う結末もあったのかもしれません。
相手と向き合うということ、すなわちしっかりとコミュニケーションをとること。壊れる前に心に留めていきたいと改めて感じました。
父親が息子に裁判の話を伝えるシーンは、息子役の演技に思わず泣かされます。
そして、父親と息子が一緒につくる「フレンチトースト」。そのシーンもとても印象的で、素敵なシーンです。
久しぶりに見返すと、若い頃とは違う印象を受ける映画でした。何度でも見返したい方や、日本語吹替で楽しみたい方には、こちらのBlu-rayもおすすめです。
親子の関係を描いた映画としては、是枝裕和監督の『そして父になる』も印象に残る作品です。
血のつながりとは何か、父親になるとはどういうことかを考えさせられる映画なので、『クレイマー、クレイマー』とあわせて観ると、また違った角度から親子について考えられるかもしれません。
『そして父になる』については、こちらの記事でも紹介しています。
▶「親子の血」か「親子の時間」か――是枝裕和監督『そして父になる』が描く、「正解」のない家族の形を、今さら考えてしまう
映画に出てきた「フレンチトースト」のレシピを発見
この映画で最も印象に残るシーンの一つが、父と息子が一緒に作るフレンチトーストです。
初めて作る朝は慣れない父親が失敗ばかりで、親子ともに余裕がありません。
ところが物語の終盤では、二人は息の合った手つきで自然に朝食を作っています。
同じフレンチトーストでも、その時間の流れが二人の成長や絆を静かに表現しているように感じました。
映画を見終わると、「あのフレンチトーストを作ってみたい」と思う人も多いのではないでしょうか。
私も気になって調べてみたところ、映画に登場するフレンチトーストを再現したレシピが紹介されていました。
NHK「グレーテルのかまど」でも取り上げられるほど、このフレンチトーストは映画を象徴する料理として知られています。
フレンチトーストは、ただの朝食ではありません。
少しずつ父親になっていく主人公と、それを受け入れていく息子との時間そのものを象徴する料理だったように思います。
映画に登場する料理をもっと楽しみたい方には、『シネマ食堂』もおすすめです。『クレイマー、クレイマー』のフレンチトーストをはじめ、映画に登場する料理が紹介されています。
久しぶりに見返してみると、若い頃とは違う視点で心に残る名作でした。
フレンチトーストという何気ない朝食が、ここまで親子の時間を象徴する映画はそう多くありません。家族や親子の時間について考えたい方には、今あらためて見てほしい一本です。









